トレーディングシステムの選び方(8)

短期投資技術研究所管理人

2009年03月25日 09:58

「トレーディングシステムの選び方」の8回目です。

今回は最大ドローダウンについて、考えていきたいと思います。

では、前回までと同様に「Strategy Tester Report」(投資戦略レポート)を参照してください。
下の画像をクリックすると大きくなります。




メタトレーダーの「Strategy Tester Report」(投資戦略レポート)には、次の3種類のドローダウンが表示されます。それぞれの意味は、下記のとおりです。

Absolute drawdown(絶対ドローダウン)
初期口座残額(初期投資資金)を基準とした場合のドローダウンを示します。

Maximal drawdown(最大ドローダウン)
損益曲線のピーク(山)から損益曲線の谷(最も利益が減った時)まで失った資金量のことです。MDDなんて書かれることもあります。(MはMax、DDはドローダウン)

Relative drawdown(相対ドローダウン)
最大ドローダウンは額を示しますが、こちらは失った割合のことです。

上の例では、以下の数値になっています。

Absolute drawdown 28.08
Maximal drawdown 1300.19 (11.36%)
Relative drawdown 11.36% (1300.19)

なお、括弧は割合や額に変換しただけのもので、Maximal drawdown(最大ドローダウン)とRelative drawdown(相対ドローダウン)は、括弧内と括弧の外を入れ替えただけです。

さて、重要なこと。
トレーディングシステムを選ぶ場合には、この最大ドローダウンに着目する。

Absolute drawdownは、トレードの開始時期でその数値が大きく変動しますので、それほど重要な項目とは管理人には思えませんので、特に興味のある方以外は見なくてもいいのでしょうね。

で、ここまでが教科書的な説明です。



トレーディングシステムを選ぶ(開発する)場合には、極めて重要な項目になります。もちろん、最大ドローダウンが大きいシステムでは、損益グラフも波打つことになりますので、損益グラフを見てもシステムの安定性はある程度わかります。
しかし、この最大ドローダウンは、投資資金(口座資金)をいくら準備すればいいのかを数値として示していますので、かならず確認してください。ドローダウンが大きいシステムでは、それだけ大きな資金を必要とするわけですから。

ただ、このドローダウンは鵜呑みにはできません。
最大ドローダウンは、バックテストであれば過去のデータを対象としたものであり、さらには、トレーディングシステムが最も「成績のよかった」場合のものですから、実運用(実際のトレード)では、容易にこのドローダウンを更新してしまいます。

格言「最大ドローダウンは更新される運命にある!」

以上の理由から、安全サイドに立って将来のドローダウンをバックテスト結果の2倍程度に見込むようなこともよく指摘されます。
トレーディングシステムで得られる利益同様、最大ドローダウンも将来のことは分かりませんから、この答えは誰にもわからないかもしれませんが。(でも、評価せざるを得ませんけどね。)


最大ドローダウンについては、以上のとおりです。
マタ、ケツロンヲゴマカシテイルナー


ここから管理人の毒舌開始

ドローダウンが小さいトレーディングシステムは「優秀なシステム」なのでしょうか?

これって、難しい問題なんですよ。
トレーディングシステムの評価だけでなく、投資金額を決定する上で最大ドローダウンは極めて重要な項目なのですが、ちょっと問題が...。

損益グラフを見た場合、右肩上がりで一直線に資金が上昇するようなものがあります。この場合には、ドローダウンも少なくなっているわけです。(手法によって様々ですけど。)
では、このトレーディングシステムが安定しているかというと、そうともいえないんですよね。

この最大ドローダウンって、パラメータがオーバーフィッティング(パラメータの過度の最適化)の時、とても影響を受けちゃうんですよね。
オーバーフィッティングの場合には、最大ドローダウンも驚くほど小さくなってしまったりするわけです。
過去の成績はめちゃくちゃいいけど、実際のトレードでは簡単に最大ドローダウンを更新してしまうシステムって少なくないと思いますが、こういった要因があるかもしれません。

トレーディングシステムがオーバーフィッティングしているかどうかどうかの判断は、開発者にとっても難しいことなのですが、いわんや、情報の入手が困難な購入者にとっては不可能なことかもしれません。
アタマイタイナー

最大ドローダウンはトレーディングシステムを評価する上では極めて重要な項目ですが、その値は鵜呑みにしてはいけない、というのが今回の結論です。

ドウシタライイノカヲシメシテイナイナー
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